お知らせ

 

 校長   佐々木 進


 愛媛県立松山西中等教育学校のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
 本校の前身は、昭和49年に創立された愛媛県立松山西高等学校です。前年の昭和48年に起きた世界的な石油危機の影響によって開校当初はプレハブ校舎しかなく、生徒たちは、荒れた運動場を教職員と一緒に整地するなどしながら、「新しい学校を自分たちで創る」という「開拓者精神」を発揮しました。そして、雨が降ると、トタン屋根のプレハブ校舎がけたたましく鳴り始めるので、これに負けてはならないと教員の声が校舎の外にまで響き渡り、当時は、生徒と教職員が同様に、不自由な思いよりも新たな学校建設への熱気に包まれた毎日であったといいます。
 その後、生徒と教職員が力を合わせて創り上げた松山西高等学校の歴史と伝統を受け継ぎつつ、平成15年に愛媛県立松山西中学校が併設され、平成18年に、中予地域の県立学校で唯一中高一貫教育を行う、現在の愛媛県立松山西中等教育学校となりました。先述の、創立時に育まれた開拓者精神と、高い理想を求めて生徒と教職員が共に汗を流す「師弟同行」の精神は、今も学校のモットーとして様々な教育活動の中に息づいています。
 本校は、1学年4学級で前期課程3年間と後期課程3年間の計6年間を一貫して学ぶ中等教育学校です。「誠実・自学・創造」の校訓のもと、豊かな心と知性を身に付け、高い志を持って、未来を拓く若者を育成する、という教育方針の中で、生徒たちは1年生から6年生までの幅広い年齢集団の中で自分の「学び」を深め、高め合いながら、たくましく成長しています。授業や学校行事、部活動などを通して自らの夢や希望をかなえようと努力している生徒たちの輝きと伸びゆく力を、これからも教職員全員で守り支え続けてまいります。
 
  令和5年4月

ブログ

前期課程修了証書授与式 式辞

2025年3月20日 14時07分

 3月19日、本校体育館にて、第3学期終業式(1・2・4・5年生)の後、前期課程修了証書授与式を行い、式辞を述べました。

 春の光が満ちあふれる季節となりました。本日、保護者の皆様をお迎えして令和6年度愛媛県立松山西中等教育学校 前期課程修了証書授与式を挙行できますことは、この上ない喜びであります。保護者の皆様には、お子様が義務教育を修了され、たくましく成長されましたことに対しまして、心からお喜びを申し上げます。
 ただ今、修了証書を授与いたしました157名の皆さん、前期課程の修了おめでとうございます。皆さんが本校の1年生となった年は新型コロナウイルス感染症の影響が続き、入学直後から授業や学校行事、部活動などの教育活動において様々な制約や制限を余儀なくされました。安全・安心のためとはいえ、我慢を強いられながら戸惑いや不安、落胆や不満、心残りや寂しさを感じた人も多かったことでしょう。2年生からはコロナ禍前の教育活動を徐々に再開できるようになりましたが、予防策を十分に講じた上で常に感染症の状況に留意しながらの実施でした。
 そのような中にあって皆さんは、困難な状況を受け止め、自らすべきことやできることに真面目に向き合い、やりがいや楽しみを積極的に見出しながら一生懸命に取り組まれました。教室や廊下での友達との何気ない語らい。グループで団結し連帯感を深めた運動会。見聞を広めながら集団生活の在り方を学んだ研修旅行。クラス全員が心を一つにして歌い上げた合唱コンクール。厳しい練習を重ね、勝った喜びや負けた悔しさを仲間と共有した部活動。それらの一つ一つが、皆さんの成長にとって、かけがえのない心の糧となっています。
 皆さんは、4月から義務教育とは異なる制度のもとで自分の興味・関心の多様化・具体化に合わせ、自らの進路等に応じて必要となる資質や能力を身に付けるための教育を受けることになります。そのため皆さんには、自分の力で立つという意味の「自立」の精神と、自分のことは自分で律するコントロールするという意味の「自律」の精神がそれぞれ求められます。節目となる本日、これからの3年間が充実したものとなるよう、本校が大切にしている校訓を改めて心に留めておいてほしいと思います。
 校訓の一つ目、「誠実」。誠意を持って、人と接し何事にも取り組むということ。自分を大事にしながら他の人も大切にすることを通して心の広い人になってください。
 二つ目、「自学」。自分から学び、判断し、行動する力を身に付けるということ。どのような大人になりたいかを考えながら、自ら人生を切り拓こうとするたくましさを持つ人になってください。今後は学習内容が高度になり授業の密度もそれに応じて濃くなります。ですから、授業はもとより家庭での予習・復習などにも自ら進んで取り組みましょう。
 三つ目、「創造」。勉強や部活動、学校行事など様々なことにおいて自分や他の人にとっても喜びとなるものを創り出すということ。失敗を恐れず挑戦し続けてください。「チャンスはピンチのような顔をしてやってくる」と言います。ピンチに向き合い、乗り越える勇気を持ちましょう。困難は大きいほど、克服したり成果を上げたりしたときの喜びは大きいものです。皆さんには、それぞれ自分にしかない個性があり可能性を秘めています。本校の後期課程に進む人も新天地に向かう人も、自らの個性を発揮し、可能性に勇気を持って挑戦してください。
 結びになりますが、保護者の皆様、お子様は義務教育とは異なる制度のもとで、自立した大人へと成長していくこととなります。心の優しい生きる力を持った社会人に育つことは御家庭と学校の共通の願いです。ここにあらためて本校の教育活動に対する御理解と御支援を賜りますようお願いを申し上げ、式辞といたします。
  
  令和7年3月19日
  愛媛県立松山西中等教育学校長 佐々木 進

第3学期終業式 式辞

2025年3月20日 14時01分

 3月19日(水)に第3学期終業式を行い、次のような話をいたしました。

 おはようございます。去年の4月から今年の3月まで、皆さんにとってはどのような1年間でしたか。私は、うれしいことの多い充実した1年でした。特にうれしかったことの一つは、本校の重点努力目標のとおりに、自分が輝くとともに周りの人も輝かせたいという気持ちを、言葉に表したり行動で示したりする生徒が多くいた、ということです。皆さんがそのような思いで学校生活を送れば、本校はきっと日本一の素晴らしい学校になります。
 さて、先日の陽光祭では、茶道部のお茶会において心のこもったおもてなしを受けながら、おいしい抹茶とお菓子をいただきました。その会では、私が、「一灯」と名前(銘)を付けた茶杓が使われていました。一灯は、漢数字の「一」に、船が海を渡るときの安全を図る灯台の「灯」の字を書きます。新しい茶杓にこの名前を付けた理由は、誰もが、「心の中に一つの灯火を持って歩み、小さな善い行いを重ね、自分が置かれた所で精一杯に努力し一隅を照らす」、そのような人でありたい、という希望を込めたからです。
 かつて、オーストラリアの、次のような話を聞いたことがあります。大陸の荒野に立つ一軒屋に、目と足の不自由な女性が住んでいました。その女性は夜になると、窓辺に1本のろうそくの灯をともすことを日課としていました。 荒野を旅する人が迷わないように、旅の目印になることを祈ってのことでした。小さな1本のろうそくを灯すことが、その女性にとって、生き続けるための希望であり、いきがいでもありました。いつ通るとも知れない旅人のためにろうそくを灯し続けたその人は、「誰かの役に立ちたい」という希望を持って、日々、暮らしていたのでしょう。  
 皆さんには、これからも誠実さと思いやりを大事にしながら、どのようなときも希望を失わず、一日一日を大切に生きてほしいと願っています。

令和6年度校内合唱コンクール あいさつ

2025年3月13日 20時27分

 3月13日(木)の午前中、本校体育館にて、前期課程(1年~3年)の生徒たちによる学年別ホームルーム対抗の校内合唱コンクールを行いました。開・閉会式で、それぞれ次のようなエールを送りました。

【開会式】
 皆さん、おはようございます。校内合唱コンクールに備えて、これまで早朝の教室から練習の歌声が聞こえていましたが、そのたびに、爽やかでうれしい気分になりました。
 生徒会誌「久万の台」に少し書きましたが、私も大学のサークル活動で歌っていて、コンサートや演奏旅行、ボランティア活動をしていました。ですから、歌声を聞くと、とても幸せな気持ちになります。
 人間の声には、人の心を揺さぶる力と美しさがあります。皆さんがクラスメイトと一生懸命に練習をしてきた成果を、存分に発揮してください。
 楽しい歌はもちろんのこと、悲しい歌であっても、歌うことの根底には喜びがあります。歌う喜びにあふれた皆さんの表情を期待して、開会のあいさつとします。

【閉会式】
 どれもすばらしい発表でした。伴奏にのった声の重なりの透明感や輝きがとても美しく、感激しました。そして、最優秀となったクラスの皆さん、おめでとうございます。素晴らしい歌声であっただけでなく、音楽に対する熱意や仲間と一緒に音楽をつくる喜びが伝わってきました。心から拍手を送ります。
 去年の合唱コンクールで話したことの繰り返しになりますが、「一人ひとりが心を合わせたとき、よい演奏ができる」、と言われます。一方で、「よい演奏ができたとき、一人ひとりの心が一つになる」、とも言われます。2つのフレーズの微妙な違いには、大切な意味があるように思います。今後、他の人と一緒に何かを成し遂げようとするとき、この2つのフレーズを思い浮かべながら、取り組んでみてください。
 皆さんが、合唱コンクールで体験したことや学んだことをこれからの活動に生かすことを願って、閉会のあいさつとします。

令和6年度 第8回陽光祭あいさつ

2025年3月13日 11時59分

 今年度の陽光祭を、3月11日(火)12日(水)の2日間にわたって行いました。春らしい好天のもと、生徒や教職員、保護者の皆様でにぎわい、楽しい文化祭となりました。

【開会式】
 皆さん、おはようございます。陽光祭の準備中に、ホームルーム活動や部活動、委員会活動などで仲間と助け合いながら、企画への参加者や来場者に楽しんでもらうための工夫や努力を続けてこられたことを聞いています。その成果が披露されることを待ち遠しく思います。
 どうか、今日と明日、そして合唱コンクールが行われる明後日を含めこの3日間は、発表や展示などを行う人だけでなく、全員が文化活動に参加して、一人ひとり「最高の輝き」の笑顔となるような、忘れられない青春の思い出としてください。
 「文化」という言葉は英語の「culture」の日本語訳です。そのcultureは、ラテン語の「耕す」を意味する言葉からきています。「土地を耕す」という意味で用いられていた言葉が、やがて、「心を耕す」の意味でも使われるようになり、そこから、心を耕す糧となるもの、「文化」を意味するようになったと言われています。
 これから、様々な「文化」的な活動に親しみながら心を耕し、身の回りの楽しいことや、うれしいことに気づくことのできる、やわらかな感受性を養ってほしいと思います。以上で、開会のあいさつとします。

【閉会式】
 皆さん、陽光祭を十分に楽しみましたか。どの企画や販売も、参加者や購入者に楽しみ、喜んでもらう工夫がなされていました。準備中や当日に精一杯の努力をされた皆さんに、心から拍手を送ります。
 さて、開会あいさつの中で、「様々な文化的活動に親しみながら心を耕し、身の回りの楽しいことやうれしいことに気づくことのできる、やわらかな感受性を養ってほしい」、と話しました。これを心がけると、皆さんの気持ちが明るく前向きなものになるでしょう。これからも、ぜひ続けてください。
 陽光祭の「陽光」とは、太陽の光のことです。今日は特に、春を感じさせる穏やかで温かな光でした。春は始まりの季節。この2日間の学校行事を、1年生から5年生の力で成し遂げました。これからも自信を持って、皆さんの力を合わせながら松山西中等教育学校をよりよい学校にしていきましょう。
 最後になりましたが、生徒や教職員の皆さんをはじめ、お世話になったすべての方に改めて心から感謝の気持ちをお伝えし、閉会のあいさつとします。ありがとうございました。

松山西PTA会報「にし」掲載文

2025年3月7日 08時54分

3月1日に松山西中等教育学校PTAが発行した会報に、「小さなこと」と題した文章を書かせていただきました。

 保護者の皆様には、平素から本校の教育活動に御理解と御協力を賜り、厚くお礼申し上げます。また、創立50年の周年期間である昨年度と今年度は、様々な行事等にお力添えくださり重ねて感謝申し上げます。
 さて、昨年3月発行の会報に、式や紙面での挨拶の機会を、生徒に語りかけられる貴重な授業時間だと思い大切にしていると書きました。本会報をお借りして、普段どのようなことを伝えているかをお示しするとともに、お子様にメッセージを送らせていただきます。

 私は自分の力の足りなさを思い知ることがあります。そして、それを繰り返すと何事にも自信をなくし、自分の価値を見失いそうになります。そのようなとき、自分を慰め励ますためにアメリカの詩人エミリ・ディキンスンの言葉を思い浮かべます。
   一つの心が壊れるのをとめられるなら
   わたしの人生だって無駄ではないだろう
   一つのいのちの痛みを癒せるなら
   一つの苦しみを静められるなら
   一羽の弱ったコマツグミを
   もう一度、巣に戻してやれるなら
   わたしの人生だって無駄ではないだろう
 誰に対してでも、かりに人間以外の動物であっても、「一つのいのち」の悲しみを和らげたり、悩みを軽くしたり、苦しみを静めたりすることができたなら、その人の人生は無駄ではない。そのような、ささやかながらも尊い行いを一度でもしたなら、それだけで、生まれてきた意味はある。例えば、自分が誰かに、「こんにちは」とか、「元気にしてる」とか、「お疲れさま」とか、「ありがとう」と笑顔で言葉をかけたことによって、声をかけられた人の心が明るくなり、その人が少しでも前向きな気持ちになったとすれば、それだけで自分の人生は価値を持つ。そう自らに言い聞かせることで、自分に自信をもてないことから救われました。
 多くの人にほめ称えられる成果を上げることが優れているのは言うまでもありません。一方で、日々の暮らしの中で、目の前のひとりの人に対して、見過ごされがちな小さな善行を心がけるのも、同じように素晴らしいことです。むしろ私は、後者の行いやそのような行いを大切にしている人に、深く心を揺さぶられます。エミリ・ディキンスンは、1羽の弱ったコマツグミを巣に戻すという行為に、それを行った者の人生が全肯定されるほどの価値を見出しました。私もまた、大きなことよりも小さなことの中に一層重要なものが包み込まれていると信じて、これからも何気ない振る舞いや表情、言葉遣いや言葉そのものを大切にし続けたいと思っています。

 教員は、生徒に伝えたいと思うことが生徒に伝わったとき、無上の喜びを感じます。これからも本校は、教職員一丸となって保護者の皆様と一緒に、お子様の成長を支えてまいります。

学校新聞第34号「卒業生に贈ることば」

2025年3月5日 16時47分

 3月1日に発行した松山西中等教育学校新聞に、「みんなちがう みんなおなじ」と題した「卒業生に贈ることば」を書きました。

 詩人の金子みすゞ(ず)は、作品『私と小鳥と鈴と』の中で、空を飛ぶ小鳥も、きれいな音を出す鈴も、地面を速く走れてたくさんの唄(うた)を知っている私も、それぞれに備わる、他にはない「よさ」を発揮していると語り、「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい」とつぶやいています。
 この詩を初めて読んだとき、多様性の大切さに触れつつ、「ちがい」はありながらも、あることにおいては、みんな同じなのだという普遍性への信頼も込められていると感じました。そして、ソプラノやテノールなどの各声部が独立したメロディーとなって対等に絡(から)み合いながら協和し、透明で美しい響きが広がるポリフォニー(多声音楽)を思い浮かべました。この世に奇跡的に存在し、誰一人として同じ者のいない私たちには、それぞれに「その人らしさ」が備わっています。誰もが、「鈴や小鳥や私」のように自分らしさを発揮するとき、すなわち、一人ひとりちがう生活を丁寧に過ごすとき、その人にしか出せないメロディーが奏でられているのでしょう。それらを重なり合わせ、人間としての壮麗なポリフォニーを響き渡らせるために、「ちがい」は与えられているのかもしれません。
 卒業される第17期生の皆さん、自分らしさを失わず一日一日を大切にしてください。

令和6年度卒業証書授与式 式辞

2025年3月1日 16時35分

 3月1日(土)10:00から、本校体育館にて第17期生の卒業証書授与式を行いました。卒業生は皆、担任の呼名に対して、気持ちのこもった返事をしました。

 校庭の木々の芽も膨らみ、暖かい春の訪れが感じられる今日の佳き日に、本校を見守り支えてくださっている、PTA会長の菅野 雅之様をはじめ御来賓の方々、保護者の皆様方の御臨席を賜り、令和6年度愛媛県立松山西中等教育学校卒業証書授与式を挙行できますことは、我々教職員一同にとりまして大きな喜びであります。厚くお礼申し上げます。
 ただ今、卒業証書を授与いたしました143名の皆さん、卒業おめでとうございます。拍手を送り、お祝いを申し上げます。また、保護者の皆様には、お子様の御卒業、まことにおめでとうございます。大切に慈しみ育ててこられたお子様が、このように立派に成長され、本日ここに卒業の日を迎えられましたこと、感慨もひとしおのことと拝察いたします。心からお喜び申し上げます。
 さて、本校では6年間の学びを、基礎・充実・発展の三つの時期に分けています。卒業生の皆さんは、その内の基礎期と充実期に当たる1年生の終わりから5年生の始まりまで、新型コロナウイス感染症の影響を大きく受け、授業や学校行事、部活動などの教育活動において様々な制約を余儀なくされました。皆さんの安全・安心のためとはいえ、我慢を強いられる中で戸惑いや不安、落胆や不満、心残りや寂しさを感じた人も多かったでしょう。しかし、そのような中にあっても皆さんは、困難な状況を受け止め、自らすべきことやできることに真面目に向き合い、やりがいや楽しみを積極的に見いだしながら一生懸命に取り組まれました。人類の歴史に大きく記されるであろう「コロナ禍」を、たくましく乗り越えてこられた三年数か月は、今後の皆さんの人生に必ず生かされる貴重な「基礎・充実期」であったと言えます。自信を持ってこの経験を糧にし、歩み続けてください。
 そのような皆さんに話しておきたいことがあります。本校第1教棟の1階通路東側の壁に、「感動」の二文字の書が飾られています。私は、紙面に納まらず躍動しているかのようなその書を眺めるたびに、文字通り、強い感銘を受け深く心を動かされます。そして、幸せな気分になり、生徒のため、教職員のため、学校のために今日も頑張ろうという気持ちになります。感動とは、感じること、何かに気付くことによって心が動かされ、それを行動に移すこと、体を動かすことです。人間にとって大切な力の一つは、相手の気持ちを汲み取り、自分の体験から相手の気持ちを理解し同調しようとする共感力ですが、その力は感動の体験を積み重ねることによって培われます。皆さんにはこれからも、柔らかく瑞々しい感受性を持ち続け、「夢に向かって心と体を動かし、みんなを輝かせる人」であってほしいと心から願っています。
 終わりになりましたが、保護者の皆様には、長い間、本校を温かく見守ってくださり、多大なる御支援と御協力を賜りましたこと、深く感謝申し上げます。
 卒業生の皆さん。出会いにおいて大切なことは、周りの人の言動のなかに共感できるものや新しくひらめくものを見出せる感受性を自分が持っているかどうかです。たとえば、ある人の優しさや強さを感じ取ることのできる者にとっては、その人が大事な友人になるかもしれませんが、気付かない者にとっては、ただ通り過ぎてゆく人でしかないでしょう。つまり、どういう人と、どのような出会いをするかは、その時々の自分自身の内面や生き方によって左右されます。出会いは自己を映す鏡なのです。どこにでも、よい出会いは必ずあります。会えてよかったと思える人がいます。そう信じて、それぞれの場所で自分に与えられた役割を精一杯果たしてください。すると、優しい人や頼りになる人が自分の周囲に集まってきます。というよりも、そのような人が周りにいることに気付くことができます。そのとき、周りの人にとって、自分も、かけがえのない存在になっています。
 皆さんがこれから、一人ひとりに与えられた場所で自分らしい人生を誠実に歩まれることを願い、皆さんの御多幸と御活躍をお祈りし、式辞といたします。
      令和7年3月1日
      愛媛県立松山西中等教育学校長 佐々木 進

第3学期始業式 式辞

2025年1月14日 20時06分

 1月7日(火)、本校体育館において第3学期始業式を行い、生徒たちに次のような話をいたしました。

 皆さん、おはようございます。明けましておめでとうございます。今年も、よい年にしてください。
 さて、これまで皆さんに繰り返し伝えてきた言葉が二つあります。一つは、本校の重点努力目標である、「Ever Shining - 夢に向かって心と体を動かし、みんなを輝かせる人であれ-」です。もう一つは、2学期の終業式でも話した「誠実」です。誰に対しても真心を持って接し、優しく思いやりがあり、何事にも真面目に一生懸命に取り組む人に、私は誠実さを感じます。そして、私自身もそのような人になりたいと思っていますが、まだまだです。だから、体の中から温かくなるような誠実さを忘れないように、時々、童話や児童文学を読み返しています。
 その中の一冊が、去年の卒業式の式辞で紹介した、児童文学作家の斎藤隆介が書いた『花さき山』という童話です。これまで、いろいろな式や行事などにおいて私が皆さんに話した内容は、学校ホームページの「校長室から」に載せているので、その式辞を読んだ人がいるかもしれません。物語に出てくる「花さき山」という山では、人間が思いやりの気持ちをもって優しいことを一つすると美しい花が一つ開きます。そして、山にはそのようにして咲いた花が一面に広がっています。この童話は、優しい行為が気高く美しいものであること、多くの人が見返りを求めることなくそのような行いをしていて、どこかで花を咲かせていることを教えてくれます。「花さき山」は、優しいことをした人、された人、それを知った人のそれぞれの心の中にある、と私は思っています。
 皆さん。自分自身がしたいことやすべきことに丁寧に取り組み、誠実であろうとする気持ちを大事にしながら、充実した3学期を送ってください。今日はとても寒いですね。以上で始業式の式辞とします。

第2学期終業式 式辞

2024年12月20日 14時57分

 12月20日(金)、本校体育館において第2学期終業式を行い、生徒たちに次のような話をいたしました。

 おはようございます。学校は、保護者や業者の方々の他にもいろいろな方から電話をいただきます。例えば、本校生徒の自転車のマナーを注意してくださる方は、軽車両運転者の皆さんが被害者や加害者にならないために電話をくださっています。
 また、本校生徒がこのような善いことをしていた、と電話をくださる方もいます。困っている人を見て、当たり前のように善きことを行う県西生。本校の生徒にこうあってほしいと願う姿を、皆さんが自ら示してくれると、私たち教職員はとても幸せな気持ちになります。
 さて、私が尊敬する先輩からの便りの中に、ときおり書かれている言葉があります。それは、農学者・教育者であり国際人でもあった新渡戸稲造が作った、「見む人の為にはあらで奥山に おのが誠を咲く桜かな」という歌です。人が足を踏み入れることのない山奥に自生する桜は、誰に見せるでもなく自分の「誠」、すなわち真実の姿である「花」を咲かせている。それに心を動かされた新渡戸の気持ちが伝わってきます。そして、その歌が添えられた便りをいただくたびに、美しい桜の花を想像しつつ、「誰も見ていない、気付かないときこそ誠実でありたい」という先輩からのエールとして受け止めています。
 初めに話した、善きことを行った生徒は、人が見ているから、ほめられたいからではなく、誰が見ていようが見ていまいが、困っている人が誰であれ、思いやりの気持ちをもって行動したのでしょう。外部の方から、そのようなうれしいご連絡をいただいたとき、私はいつも新渡戸の歌が頭に浮かびます。奥山に咲く桜の人知れぬ「誠」に美しさを感じた新渡戸がそれを歌にしたのと同じく、当然のように人助けをする生徒の誠実さに感動なされた方が、学校までわざわざ伝えてくださったのだと思います。皆さん。誰かに善きことをプレゼントするサンタクロースのような人になってください。
 冬休みが始まります。感染症対策を行い体調には十分気を付けて、よい年を迎えてください。特に、6年生には進路実現のためにも時間を丁寧に使ってほしいと思います。3学期の始業式で皆さん全員と元気な声で新年の挨拶を交わすことを楽しみにしています。

令和6年度冬季グループマッチ挨拶

2024年12月9日 19時24分

 12月9日(月)、寒い曇り空のもと、令和6年度冬季グループマッチを実施しました。生徒たちは各学年の種目別対抗で勝利を目指すとともに、その結果を暁雲・青穹・銀嶺・蒼龍の4つのグループごとに得点化して年間総合優勝を競いました。そのような生徒たちに、開会式と閉会式にて次のような話をいたしました。

【開会式】
 皆さん、おはようございます。
 昨年の冬季グループマッチでも話しましたが、どの種目においても、「相手に思いやりを持つ」「競技規則を守る」「審判の判定を尊重する」、というリスペクトの精神をもって競技に臨んでください。
 その上で、各自がそれぞれもグループの一員としての自覚を持ち、一致団結して競技に取り組むことによって、お互いの親睦を深め協調性や連帯意識を高め合ながら、楽しく有意義な時間にしてください。
 皆さんが体調と安全に気を付けて活躍されることを期待し、開会のあいさつとします。

【閉会式】
 皆さん、楽しく有意義に過ごせましたか。私は、雨が降らないことを祈りながら応援を楽しみました。ありがとうございました。
 さて、年間総合優勝を成し遂げた暁雲グループの皆さん、おめでとうございます。素晴らしい成果に拍手を送ります。そして、どのグループの皆さんも、希望の実現を強く願いながら努力を重ねても叶わなかった時、それは人間にとって最も尊い瞬間の一つである、ということを忘れないでください。
 今日は体と気持ちをリフレッシュして休ませ、明日からまた、リスペクトの精神で授業をはじめとした様々な活動に取り組んでください。
 終わりに、グループマッチの準備や運営に協力してくれた生徒の皆さん、ありがとうございました。感謝の気持ちを伝えて閉会のあいさつとします。