令和6年度卒業証書授与式 式辞
2025年3月1日 16時35分 3月1日(土)10:00から、本校体育館にて第17期生の卒業証書授与式を行いました。卒業生は皆、担任の呼名に対して、気持ちのこもった返事をしました。
校庭の木々の芽も膨らみ、暖かい春の訪れが感じられる今日の佳き日に、本校を見守り支えてくださっている、PTA会長の菅野 雅之様をはじめ御来賓の方々、保護者の皆様方の御臨席を賜り、令和6年度愛媛県立松山西中等教育学校卒業証書授与式を挙行できますことは、我々教職員一同にとりまして大きな喜びであります。厚くお礼申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与いたしました143名の皆さん、卒業おめでとうございます。拍手を送り、お祝いを申し上げます。また、保護者の皆様には、お子様の御卒業、まことにおめでとうございます。大切に慈しみ育ててこられたお子様が、このように立派に成長され、本日ここに卒業の日を迎えられましたこと、感慨もひとしおのことと拝察いたします。心からお喜び申し上げます。
さて、本校では6年間の学びを、基礎・充実・発展の三つの時期に分けています。卒業生の皆さんは、その内の基礎期と充実期に当たる1年生の終わりから5年生の始まりまで、新型コロナウイス感染症の影響を大きく受け、授業や学校行事、部活動などの教育活動において様々な制約を余儀なくされました。皆さんの安全・安心のためとはいえ、我慢を強いられる中で戸惑いや不安、落胆や不満、心残りや寂しさを感じた人も多かったでしょう。しかし、そのような中にあっても皆さんは、困難な状況を受け止め、自らすべきことやできることに真面目に向き合い、やりがいや楽しみを積極的に見いだしながら一生懸命に取り組まれました。人類の歴史に大きく記されるであろう「コロナ禍」を、たくましく乗り越えてこられた三年数か月は、今後の皆さんの人生に必ず生かされる貴重な「基礎・充実期」であったと言えます。自信を持ってこの経験を糧にし、歩み続けてください。
そのような皆さんに話しておきたいことがあります。本校第1教棟の1階通路東側の壁に、「感動」の二文字の書が飾られています。私は、紙面に納まらず躍動しているかのようなその書を眺めるたびに、文字通り、強い感銘を受け深く心を動かされます。そして、幸せな気分になり、生徒のため、教職員のため、学校のために今日も頑張ろうという気持ちになります。感動とは、感じること、何かに気付くことによって心が動かされ、それを行動に移すこと、体を動かすことです。人間にとって大切な力の一つは、相手の気持ちを汲み取り、自分の体験から相手の気持ちを理解し同調しようとする共感力ですが、その力は感動の体験を積み重ねることによって培われます。皆さんにはこれからも、柔らかく瑞々しい感受性を持ち続け、「夢に向かって心と体を動かし、みんなを輝かせる人」であってほしいと心から願っています。
終わりになりましたが、保護者の皆様には、長い間、本校を温かく見守ってくださり、多大なる御支援と御協力を賜りましたこと、深く感謝申し上げます。
卒業生の皆さん。出会いにおいて大切なことは、周りの人の言動のなかに共感できるものや新しくひらめくものを見出せる感受性を自分が持っているかどうかです。たとえば、ある人の優しさや強さを感じ取ることのできる者にとっては、その人が大事な友人になるかもしれませんが、気付かない者にとっては、ただ通り過ぎてゆく人でしかないでしょう。つまり、どういう人と、どのような出会いをするかは、その時々の自分自身の内面や生き方によって左右されます。出会いは自己を映す鏡なのです。どこにでも、よい出会いは必ずあります。会えてよかったと思える人がいます。そう信じて、それぞれの場所で自分に与えられた役割を精一杯果たしてください。すると、優しい人や頼りになる人が自分の周囲に集まってきます。というよりも、そのような人が周りにいることに気付くことができます。そのとき、周りの人にとって、自分も、かけがえのない存在になっています。
皆さんがこれから、一人ひとりに与えられた場所で自分らしい人生を誠実に歩まれることを願い、皆さんの御多幸と御活躍をお祈りし、式辞といたします。
令和7年3月1日
愛媛県立松山西中等教育学校長 佐々木 進