令和5年度前期課程修了証書授与式 式辞
2024年3月20日 10時06分 3月19日(火)、第3学期終業式の後、体育館にて第3学年生徒の前期課程修了証書授与式を行い、次のような式辞を述べました。
春の光が満ちあふれる季節となりました。本日、保護者の皆様をお迎えして令和5年度愛媛県立松山西中等教育学校前期課程修了証書授与式を挙行できますことは、この上ない喜びであります。
保護者の皆様には、お子様が義務教育を修了され、たくましく成長されましたことに対しまして、心からお喜びを申し上げます。
ただ今修了証書を授与いたしました159名の皆さん、前期課程の修了おめでとうございます。皆さんは本校の門をくぐって三年の月日の間、世界的に流行した新型コロナウイルス感染症の影響を受け、入学直後から授業や学校行事、部活動などの教育活動において様々な制約や制限を余儀なくされてきました。安全・安心のためとはいえ、我慢を強いられながら、戸惑いや不安、落胆や不満、心残りや寂しさを感じた人も多かったことでしょう。
そのような中にあって皆さんは、困難な状況を受け止め、自らすべきことやできることに真面目に向き合い、やりがいや楽しみを積極的に見出しながら一生懸命に取り組まれました。教室や廊下での友達との何気ない語らい。些細なことに思い悩んだ日々。見聞を広めながら集団生活の在り方を学んだ研修旅行。グループで団結し連帯感を深めた運動会。クラス全員が心を一つにして歌い上げた合唱コンクール。厳しい練習を重ね、勝った喜びや負けた悔しさを仲間と共有した部活動。それらの一つ一つが、皆さんの成長にとって、かけがえのない心の糧となっています。
皆さんは、四月から義務教育とは異なる制度のもとで、自分の興味・関心の多様化・具体化に合わせ、自らの進路等に応じて必要となる資質や能力を身に付けるための教育を受けることになります。そのため皆さんには、自分の力で立つという意味の「自立」の精神と、自分のことは自分で律するコントロールするという意味の「自律」の精神がそれぞれ求められます。節目となる本日、これからの3年間が充実したものとなるよう、本校が大切にしている校訓を改めて心に留めておいてほしいと思います。
校訓の一つ目、「誠実」。誠意を持って、人と接し何事にも取り組むということ。自分を大事にしながら他の人も大切にすることを通して心の広い人になってください。
二つ目、「自学」。自分から学び、判断し、行動する力を身に付けるということ。どのような大人になりたいかを考えながら、自ら人生を切り拓こうとするたくましさを持つ人になってください。今後は学習内容が高度になり、授業の密度もそれに応じて濃くなります。ですから授業はもとより、家庭での予習・復習などにも自ら進んで取り組みましょう。
三つ目、「創造」。自分や他の人にとっても喜びとなるものを創り出すということ。失敗を恐れず挑戦し続けてください。蓄音機や白熱電球などの発明によって人々の生活を一変させ、「発明王」と呼ばれたトーマス・エジソンは、「私は失敗したことがない。ただ、一万とおりの、うまくいかない方法を見付けただけだ」という言葉を残しています。失敗は成功と等しい価値を持つのです。皆さんには、それぞれ自分にしかない個性があり、可能性を秘めています。本校の後期課程に進む人も、新天地に向かう人も、自らの個性を発揮し、可能性に勇気を持って挑戦してください。
結びになりますが、保護者の皆様、お子様は義務教育とは異なる制度のもとで、自立した大人へと成長していくこととなります。心の優しい生きる力を持った社会人に育つことは、御家庭と学校の共通の願いです。ここにあらためて、本校の教育活動に対する御理解と御支援を賜りますようお願いを申し上げ式辞といたします。
令和6年3月19日
愛媛県立松山西中等教育学校長
佐々木 進