第1学期始業式 式辞
2023年4月12日 13時23分 4月10日(月)の朝、第1学期始業式を行い、生徒たちに次のような話をいたしました。
これまでの3年間、本校では、新型コロナウイルス感染症対策を行いながら、生徒の皆さんと教職員が力を合わせて授業や学校行事、部活動などに取り組んできました。今年度も学校全体で一つとなり、コロナウイルスの感染回避に努め、「ピンチはチャンス」ととらえて、様々な活動をよりよいものにしていきましょう。
さて、フランスの小説家・アルベール=カミュの『ペスト』という作品について話をします。読んだことがある人もいるかもしれません。この小説には、ペストという疫病と戦う人たちの行動を通して、私たちは災害や疫病といった人間の力ではどうすることもできない状況をどう乗り越えるか、私たちはどのように生きるべきか、が描かれています。その中で、主人公である医者の次のような言葉が印象に残りました。「ペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです」、「僕の場合には、自分の職務を果たすことです」、「原動力となっていたのは、ささやかな仕事で役に立ちたいということだけでした」、という言葉です。人々の命を奪う未知の感染症と戦うためには、一人一人が自分のすべきことに丁寧に取り組む、その誠実さこそが最も重要である、と語りかけているように思えました。
本校の校訓の一つは、まさにその「誠実」です。誠実とは、真心を持って人と接し、何事にも取り組む、ということです。そして、校訓のこの言葉には、自分を大事にしながら他の人も大切にすることを通して、心の広い人になってほしいという願いも込められています。
私は皆さんに、誠実な人であり続けてほしいと願っています。そして、私を含め、この学校の全員で取り組みたいことがあります。それは、「人を思いやる気持ち」を「かたち」にして相手に届けるということです。例えば、相手の様子を気にかけたり、笑顔で接したり、一生懸命に話を聞いたり、優しく話しかけたりする。そのような、小さなさりげない行いを大事にしていきましょう。
今日の午後、入学式を行い、新入生を迎えます。生徒の皆さん。誠実さを胸に、よき先輩として新入生を導いてください。皆さんが自分の力で夢や希望をかなえることを応援し、第1学期始業式の式辞とします。