eラーニング「第7回 東京大学による高校生のための金曜特別講座」

2018年12月9日 15時06分

「高校生のための金曜特別講座」第7回は、東京大学大学院数理科学研究科・米田  剛准教授による講義でした。

 高校で習う積分はリーマン積分といわれるもので、基本的には連続関数に対して定義される積分です。おおざっぱにいうと、連続関数を短冊(長方形・直方体など)で近似し、それぞれの短冊の面積(体積)の和を取ることでそれを積分値とみなす、というアイデアです。このアイデアでは「各短冊の面積が定まっている」ということと、「各短冊の面積の和の極限をとる(数列の無限和とみなす)」という二点が大前提となっており、よくよく考えると、この二点は、関数の連続性とはあまり関係がありません。「この二点さえ抑えておけば、より一般的な積分論を構築できるのではないか?」と思い至ることは自然だと思います。ここがルベーグ積分論の起点となるわけです。

   しかし、ルベーグ積分は現代数学の根幹を成すにも関わらず、初学者にとっては、なかなか理解しにくいというのが現状です。ルベーグ積分は、前述の二点を前提としながら、テトリスゲームのようにブロック(長方形・直方体など)を積み上げていくイメージです。しかし、その積み上げ方にある程度の制約を加えないと、「無限」にまつわる或る厄介な現象が起きてしまい、積分が定義できなくなります。そういった「厄介な現象を巧妙に避ける」というルベーグ積分の核心ポイントについて講義がなされました。

参加生徒感想

・最初に「長さ」の概念を考えたときに、単に「長さ」というだけでも深い考え方や定義があり驚きました。今日の講座はとても難しかったですがルべーグ積分がこれからの数学にとって、とても重要であることがわかりました。(5年男子)

・内容は難しかったですが、高校1年生の教科書でも見られるような導き方を用いていたことから、レベルが上がっても基本は同じなんだと思いました。(4年女子)