光待つ場所へ

2020年3月13日 15時29分

 本当なら今日は前期課程校内合唱コンクールの日。2学期から各クラスで練習してきた楽曲を体育館いっぱいに響かせるはずでした。私も残念でなりませんが、一生懸命に取り組んできたみなさんにとっては、なおさらのことだと思います。

 今日は辻村深月さんの「光待つ場所へ」という本を紹介します。この本は、5つの短編から成っています。その一つが「樹氷の街」。3年2組が合唱コンクールで歌うはずだった曲です。あらすじをほんの少しだけ書いてみますね。

 梢は合唱コンクールのピアニストに立候補したものの、間際になってもうまく弾けません。クラスにはあきらめモードが漂い、指揮者の天木は焦ります。ある日、梢の楽譜がくしゃくしゃにしてごみ箱に捨てられるという事件も起きてしまいました。そんな中、クラスで目立たない存在の松永が、実はすごいピアノの腕前だということを知ります。そこで課題曲の「大地讃頌」は今まで通り梢に任せ、自由曲の「樹氷の街」のピアノを松永に依頼しました。『こぼれる光か水のように、音が流れる。一つ一つの音が透明なガラス玉のような印象で、その音が空間をいっぱいに満たして溶けていく』・・・

 あまりネタバレしても面白くなくなるので、後は読んでのお楽しみにしますね。

 私たちの当たり前の毎日が、今回の新型コロナウィルスの脅威を前に、いかに脆弱なものだったかを痛感します。毎日の暗いニュースに気持ちも沈みがちでしたが、久々に本を読み、辻村さんの青春の1ページを切り取ったようなみずみずしい文章に触れ、さわやかな気分になりました。3年2組担任の永井先生にもお薦めし、「合唱コンクール、あるあるだね!」と盛り上がりました。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。