令和7年度 第1学期始業式 式辞
2025年4月8日 10時14分4月8日(火)、本校体育館において令和7年度第1学期始業式を行い、生徒たちに次のような話をいたしました。
ここ久万ノ台では、本格的な春が訪れ、花々は咲き誇り、木々には美しい新緑が見られます。
本日、令和7年度のスタートである第1学期始業式において、皆さんの気力に満ちた姿を拝見し、大変ありがたく感じています。
春は、出会いの季節であります。本日は、新任式において、新しい先生方と出会いました。午後には、入学式において160名の新入生を迎えます。上級生の皆さんには、それぞれの役割を果たしていただくとともに、新しい学年での学びを、先生方と力を合わせて進めていただきたいと思います。
さて、本校では、毎年度、 Ever Shining という言葉を冠した重点努力目標を定めています。この目標は、本校1期生が、併設型中学校から中等教育学校に移行した、平成18年度から始まり、現在に至ります。Ever Shining という言葉は、御案内のとおり、本校の学校生活のモットーであり、皆さんが勉学や様々な活動の場面で個性豊かに輝くことを願う教職員の思いが込められています。年度初めに当たり、今年度の重点努力目標を、Ever Shining - 他者と共に輝ける人であれ – といたします。
現代社会は、技術革新やグローバル化の一層の進展などにより、複雑で予測困難な社会であるといわれています。このような社会では、一人ひとりが、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓いていくことが大切となります。今回の重点努力目標には、そのような願いを込めております。本校では、今後も、教科学習や特別活動、探究的な活動など、多くの場面で「協働」の要素を取り入れていきたいと考えています。皆さんの積極的な取組みを期待しています。
ところで、話は変わりますが、ここで、近江商人のお話をしたいと思います。近江とは現在の滋賀県の旧国名であり、近江商人は、我が国で最も古い、ブランド力をもった商人集団です。彼らは、地元で産物を仕入れ、歩いて他国に売り歩きました。行く先々で商品を販売し、その対価を得ます。お金の状態で近江に持ち帰れば、荷物が軽くなって楽だったでしょう。しかし、彼らは、そのお金で他国の産物を現地で仕入れ、それを近江への帰り路で販売し、更に利益をあげました。貨幣は流通することに意義があります。彼らが売り先で産物を仕入れることで、その地域に貨幣が残り、次回の取引きの活性化につながったことでしょう。また、近江商人に対する信頼も勝ち得たことでしょう。こうした彼らの商法は、「鋸商ひ」「のこぎり商法」とも呼ばれています。自らが利益をあげるだけでなく、取引先に喜ばれることも重んじ、更には地域の活性化にも貢献する彼らの姿勢は、後世、「三方よし」と呼ばれるようになりました。「三方よし」とは、「売り手によし」「買い手によし」「世間によし」の三つの「よし」をまとめたものです。近江商人のあり方は、現代におけるCSR―企業の社会的責任―や、地域経済の活性化策にも通じる、古くて新しいものといえます。他者との協働と際に、「三方よし」の考え方を参考にしていただければと思います。また、皆さんが、卒業し社会人となったとき、「自分の幸せ」「相手の幸せ」「社会への貢献」が同時に実現すれば、素晴らしいことであるとも思っています。
最後になりますが、春という季節を表す英語は、御案内のとおり、spring であります。英語のspring ということばには、「春」以外にも、「ばね」「泉」「はねる」など多くの意味があるとのことです。活力あふれるこの季節に、皆さんが、一段の飛躍をされることを祈念するとともに、先生方に、引き続きの親身で丁寧な御指導をお願いし、式辞といたします。終わります。